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AEによる風力発電設備の診断
● AEによる風力発電設備の診断の必要性

風力発電機に落雷が発生すると、ブレードに損傷が生じ、稼働に影響が発生したり風力発電設備の周囲の安全に問題が発生する場合がある。また開発初期に設置された風力発電設備では設備劣化が進行し、設備交換の適切な判断が必要となってきている。上記の問題に対し、落雷によるブレードの劣化の判断にAE法を適用した例を紹介する。発電機構部の診断については、減速機と軸受の診断となるため下記の診断例を参考にされたいが、AE法により風力発電設備の総合的な診断が可能な技術水準に到達している。<減速機診断><軸受診断>

● アコースティックエミッションによる落雷の評価

図1に風力発電設備においてAEを計測する場合のAEセンサ設置位置例を示す。AEセンサⅠで落雷時のブレードの劣化を評価し、AEセンサⅡ、Ⅲで増速機、軸受の劣化を評価する。図2に、落雷が発生し、ブレードに損傷が発生した場合のAE発生数の変化を示す。落雷発生時には大量のAEが発生する。落雷が発生してもブレードに損傷が発生しない場合にはAEの発生がないので、落雷前後にはAEの発生数に変化がないが、損傷が発生するとAEの発生数が増加する。このAEの発生数の増加から落雷後のブレードの損傷進行を判断することができる。

● アコースティックエミッションによる落雷後の危険性の評価

ブレードに損傷が発生した場合には、ブレード交換の判断が必要となる。ブレードの素材がFRPの場合には、損傷は①母材破壊 ②母材と繊維のはく離 ③繊維の破断の順に進行するが、強度にもっとも影響があるのは②母材と繊維のはく離の進行と考えられる。AEは、上記のそれぞれの破壊進行過程で特徴的な挙動を示し、母材と繊維のはく離の進行を示すAE挙動が観察された場合にブレードの寿命と判断することができる。下記に各破壊進行過程において放出されるAEの特徴を示す。

1) 母材破壊 :き裂が発生すると突発型のAEが発生する。き裂の進行数とAEの発生数に相関があり、進行したき裂の進行量は振幅と相関がある。

2) 母材と繊維のはく離:はく離が発生すると、母材と繊維が摩擦して連続的にAEが発生する。すなわち持続性の長いAEが発生する。

3) 繊維の破断 :繊維の破断が発生すると、突発型のAEが発生する。その振幅は、母材やはく離時に発生するAEと比較して非常に大きくなる。

上記を判断するには、図2に示すように発生したAEの持続時間と振幅の分布図を作成し、その分布から破壊形態を判断すればよい。図中A部が母材破壊を示し、B部が繊維の破断を示し、C部が母材と繊維のはく離を示す。

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